●古代ギリシア時代「ギリシア人の物語」を読む

最近、空いた時間は本ばかり読んでいたので、ブログの更新をしていませんでした。前回のブログで塩野七生さんの「ローマ人の物語」という古代から中世にかけてのローマ人について書かれた本を読んだ話を書きました。その後同じく塩野七生さんの書いた「ギリシア人の物語」を読みました。この本も面白かった。

古代のギリシアからマケドニアのアレキサンダー大王の時代の歴史物語が全3巻で書かれています。この本を読むと古代ギリシアの昔の人たちが、実際に生きていた身近な人のような感じがします。

古代の民主政の発祥の地と言われるアテネ。そして常にライバル関係にあった軍人のポリスとも言えるスパルタ。ずいぶんあり方が異なる2つのポリスは常に敵対しているのだが、ペルシアの侵攻に対しては共同して立ち向かっています。その様子も含めてその時代のギリシアの状況が生き生きとよくわかります。そのアテネとスパルタですが、ペルシア戦争以降の絶頂以降、意外とあっさり衰退していってしまいます。その成り行きも興味深いものがありました。

アテネ

その時代の有名人「テミストクレス」と「アレキサンダー大王」の話も面白かった。


●義経伝説みたいな「テミストクレス」

「テミストクレス」はアテネの政治家ですが、巨大な兵力を持つペルシアがギリシアに侵攻してきたペルシア戦争でアテネを中心としたギリシアのポリス連合がペルシアの艦隊を壊滅した「サラミスの海戦」を指揮した人です。これによりペルシアは退却を余儀なくされたわけで、ペルシアの侵攻からギリシアを守った立役者と言えます。

その当時のギリシアの有名人でありヒーローでもある「テミストクレス」ですが、その後アテネの政界での共同謀議にまきこまれ、陶片追放と呼ばれる制度を利用されアテネを追放されてしまう。追放されただけならギリシアのほかの地に住んでいたらよいのだが、テミストクレスの徹底排除でアテネとスパルタの利害が一致したため、ギリシアでの国際指名手配のようになってしまった。

そのため「テミストクレス」はギリシアや周辺各地を逃亡することになるのですが、「サラミスの海戦」の英雄を忘れていない人々が各地でかくまって助けてくれた。

そして最後は、サラミスの海戦で破ったペルシア王クセルクセスの息子の新王に直接会って、ペルシアの特別顧問といいますか、特別コンサルタントのようなポジションにおさまったのです。

若い頃にペルシア王の父に同行してサラミスの海戦を目撃していた新王にとっては、テミストクレスはその時の敵ではあったのですが、ヒーローでもあったらしい。 (なんとなくわかる。)

ペルシアの新王はテミストクレスといっしょに狩りに出かけては、ありとあらゆる相談を持ち掛け忠告や助言をもらっていたらしい。ペルシアの宮殿では、そのテミストクレスを「王に最も影響力のあるギリシア人」と呼んでいたそうだ。

戦のヒーローが政略にまきこまれて、追われる身になるのは、日本の源義経伝説にかぶる。テミストクレスは実際、本国を追われてやむを得ず、敵国の特別顧問におさまってしまったわけですから、日本の昔に例えたら元寇にきた元の王の特別顧問におさまったというところでしょうか。なんとも数奇な人生と言えますが、スケールの大きな話がこの時代にも繰り広げられていたわけですね。

●騎馬隊の先頭で真っ先に突撃していく傷だらけのアレキサンダー大王

アレキサンドロス大王は、古代マケドニアの王で類まれな戦の強さを誇りペルシアを滅ぼしついにはインダス川までたどり着いたことで有名な方です。

このお方、軍勢を率いてインダス川までたどりつく、まるで冒険家のような好奇心が旺盛な方だったようです。戦の際は、本当に騎馬隊の先頭にたって敵に突っ込んでいったらしく、かなり無鉄砲な方だったらしい。そのため、矢に打たれたりで傷だらけで、一人で敵兵に取り囲まれるといった命にかかわることもあったらしい。

さすがに、一人で敵兵に取り囲まれる事件があった以降は、部下にたしなめられて、自重するようになったらしいが、広大な地域を支配した大王と言われる人なのに、先頭に立って突っ込んでいったというのは、本当に大胆な人だったと思ってしまう。そういう人だからこそ、インダス川にまでたどり着けたとも言えるのですが。

●古代ギリシアの時代にタイムトリップした気分

「ローマ人の物語」を読んだ時もそうでしたが、古代ギリシアにタイムトリップした気分になりました。古代ギリシアが映画で再現されることもありますが、歴史全体を映像で表現するのはなかなか困難です。やはり文章の情報量にはかないません。ギリシアの通史を味わうにはやはり文書がよいと思います。

ヨーロッパの人は、古代ギリシャやローマの歴史はある程度知っていると思うのですが、日本に住んでいると、なかなかギリシャやローマの歴史に接する機会はないのですが、日本にいても塩野七生さんの本を通じて、気軽に歴史に触れることができるのはとてもうれしい事です。





ギリシア人の物語III 新しき力
塩野七生
新潮社
2018-04-27


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