●政府広報「私も打ちました」のキャッチコピーは誘導的な広告手法に感じる

日経新聞の朝刊に「政府広報」の全面広告が掲載されていた。「ワクチン接種を悩んでいる方、ぜひお考えください。私も打ちました」という大文字でのキャチコピーと、「ワクチン接種が進んでいます。接種部位の痛みや発熱など、副反応が起こる場合もありますが、多くは数日で回復しています。ワクチンを2回打つと、新型コロナウイルス感染症がかなり抑えられます。持病のある方にも有効です。」と書かれています。

イラストに、国立国際感染研究センター医師の似顔絵イラスト付きで、医師の言葉として書かれています。医師が主張、提言、自分がワクチンを打ったという経験を話されるのは自由なのです。

私が疑問に思ったのは、政府広報の広告がかなり誘導的な広告手法を用いている点です。

(こちらが、その新聞広告です。似顔絵と書いてある部分にその医師の似顔絵があります。著作権に触れるとか変な指摘がないように似顔絵は隠してあります)
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●新型コロナワクチンの接種は自分の意思で決めるもの

まず前提として確認しておく点は、新型コロナワクチンの接種は国からの強制ではなく、自らの意志で決めるものと明記されていることです。

新型コロナワクチンの接種に関して厚生労働省のサイトに掲載されています。


厚生労働省のサイトの中で、接種について次のような文章があります。
●接種を受ける際の同意
(引用開始)
新型コロナワクチンの接種は、国民の皆さまに受けていただくようお勧めしていますが、接種を受けることは強制ではありません。しっかり情報提供を行ったうえで、接種を受ける方の同意がある場合に限り接種が行われます。予防接種を受ける方には、予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、自らの意志で接種を受けていただいています。受ける方の同意なく、接種が行われることはありません。 職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることのないようお願いいたします。
 ⇒職場におけるいじめ・嫌がらせなどに関する相談窓口はこちら
 ⇒人権相談に関する窓口はこちら
(引用終了)


この中で、政府はしっかりした情報提供を行ったうえで、接種を受ける方の同意がある場合に限り接種が行われます。と明確に記入されています。

●この政府広報が広告技法を駆使して誘導的だと感じる理由

政府はしっかりした情報提供を行った上で、自分の意思で接種は決めるという前提のうえで、この広告が誘導的でないかと思われる点は次の通りです。

①「私も打ちました」のキャッチコピーは誘導的ではないのか
こちらの医師の方が「ワクチン接種を悩んでいる方、私も打ちました」と語っているわけです。だからあなたも打ってくださいとか、打つのを検討してくださいとは書かれていませんので、暗に打ってくださいとか打った方がよいと示唆しているようにも読める。

「私は打ちました」でもみなさんが打つか打たないかはご自分の意思で決めてください。お勧めはしますが強制されるものではありません。といった補足は必要なのではないでしょぅか。

②この医師が打ったことと、あなたが接種することと何の関係があるのか不明

こちらの医師は国関係の機関に勤務されるいる感染症を専門としている医師の方のようですが、この方がワクチンを接種したからといって、読んだ方が接種した方がよいとは断言できません。この方が打ったなら私も打ってもだいじょうぶと誤解を与えかねません。この方が打った事と読んだ方が打った方がよいかは別問題です、それぞれの方が判断することです。

③広告紙面に空きスペースが大量にある。メリットとリスク両方をきちんと併記できるのでは

広告紙面に空きスペースが大量にあります。文字を入れることは十分に可能です。メリットとリスクを両方併記すること、また接種は自分の意思で決めることといった政府としての情報提供はできるはずです。接種を推進する上で不利になる情報はあえて掲載していないとも思われます。市販の風邪薬でさえ、さまざまな注意点が細かく記入されているのにです。皆さまの地域の接種状況よりもこちらの方が大切です。

●ワクチン接種についての政府広報で誘導的な広告手法はやめた方がよい

実際この広告を見て、接種を決意する人もいるのでしょう。もちろん広告なのでそのような判断をする人が増えた方が良いと思って掲載しているわけです。

しかし、これまで述べたとおり、かなり誘導的な広告手法が用いられており、メリットとリスクの接種の判断に必要な情報をしっかり提供しているとはとても言えないのではないでしょうか。ウソが書いてあるわけでもないのですが、接種の判断のために必要な情報がバランスよく提供されているとはとても言い難いと思います。

この広告には、広告やマーケテングの専門家や企業が関わっているのではないかと推測されます。しかし多額の税金を使用している政府広報なのですから、広告手法を駆使するよりも国民が自分の意思で接種の判断ができる材料となるようにバランスよく情報提供したほうがよいのではないでしょうか。

民間企業が自社の商品を広告したり、一般の人がネット上でつぶやいているのとはお重みと責任が比べ物にならない位違います。少なくとも読んだ人の意識を一つの方向に誘導するような巧みな広告手法を駆使するのは慎むべきだと思います。

今回の政府広報の新聞全面広告のように、現代の広告は見た人にそうだと思わせるような様々な広告技法が駆使されています。こういった広告を繰り返し見ていると、接種を迷っている人も、医者も打っているのだから自分も打った方がよいのではないかという気持ちがいつの間にか心に刷り込まれていきます。

しっかり情報を取った上で接種を決めるのであればよいのですが、何となく広告で刷り込まれた状態で決定してよいものなのか、少し立ち止まって考えてみたほうがよいのではないでしょぅか。

なお、こちらの医師がさまざまなメディアで述べている事は、医師、専門家の意見として自分が接種するかどうかの判断材料にすればよいわけです。私は政府広報の誘導的な広告手法の問題について述べているのです。

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