●近未来に存在しているか!
「サピエンス全史」で有名なユヴァル・ノア・ハラリ氏の近著「21Lessons」人類が現在直面している21のテーマについて書かれています。
とても読み応えのある本です。ハラリ氏の視点は読む人に様々な思考を促します。
この本を読んで、近未来に「占いは近未来に存在しているか?」というテーマを思いつきました。
現在、星占い、手相、タロット、血液型とか、さまざまなものがあります。占いを使って自分の運勢とか未来の事を知りたいとか判断するための材料にしたいという気持ちから、占いを利用したり、信じたりするのでしょう。
よく当たる占い師だと口コミで広がることもあるのでしょうが、たいていは当たるも八卦当たらぬも八卦の世界なのでしょう。
とはいえ、それを利用する人も100発100中で当ててくれることを期待しているわけではなく、自分で判断や予想ができない事態についての判断の助けにしたいという思いで占いに頼ったり利用したりすることのでしょう。
もし、自分の判断や未来の選択に適切な助言をしてくれる存在が登場したらどうなるでしょうか。
その時、占いは生き残っているでしょうか。
占いがどうなるかを考える前に、どんな社会になっているか考えてみましょう
●人生の選択の判断にAIが深くかかわる社会
21Lessonsの「自由」の章ではビックデータの集積によるアルゴリズムの精度アップが人生の選択の概念に大きな変革をもたらすとしています。
人生やキャリアの選択について次のように述べられている
(引用開始)
たとえぱグーグルは、ロースクールやバレエスクールに行くのは時間の無駄だが、すばらしい心理学者あるいは配管工にはなれるかもしれない(そしてとても幸せになれるかもしれない)と、私に教えることができるだろう。
キャリアに関してや、ことによると人間関係に関してさえ、AIの方が私たちよりも優れた判断を下すようにようになった日には、人間性と人生の概念は変わらざるをえない。
(中略)
私たちが次第にAIに頼り、決定を下してもらうようになると、この人生観に何が起こるか?現時点では、私たちはネットフリックスを信頼して映画を推薦してもらい、グーグルマップを信頼して右に曲がるか、左に曲がるか選んでもらう。
だが、何を学ぶべきか、どこで働くべきかや、誰と結婚するべきかを、いったんAIに決めてもらい始めたら、人間の一生は意思決定のドラマではなくなる。民主的な選挙や自由市場は、ほとんど意味をなさなくなる。大方の宗教と芸術作品にしても同じだ。
(引用終了)
Amazonやユーチューブを利用している人はイメージしやすいと思います。現在でも、自分の閲覧履歴や購買履歴にそって、その人の嗜好に合った商品や情報の提案がされます。提案を元に本を買ったり動画を見たりすることはごく普通のことになっています。利用者すべてのデータを情報処理した結果、その人がより興味を示しそうなものを提案しているわけです。
ハラリ氏によれば、このビックデータとAIの判断の飛躍的なレベルアップが特定の商品購入だけでなく
人生やキャリアの決定の判断の分野にも及んでくるだろうと言うのだ。
現在ではまだ、そこまでの情報の集積やコンピューターの処理能力が無いのでしょうがこの本を読む限り、近い将来そうなっても不思議ではないと思えます。
子供が誕生した時から、その子が人生やキャリアの選択をするまでの間に様々なデータが膨大に蓄積されます。
ネットやSNSの閲覧や交信記録。家庭環境や交友関係。どんな選択を好むか等々また、世界中の人々のデータも同時に蓄積されていきます。その両方を利用することで、AIが最適な選択の提案をするというわけです。
さらには、遺伝子情報の解析データの利用そしてある種の生体チップのようなものを使用したコンピューターとの連結といったバイオテクノロジー技術の利用によりAIの提案精度の向上がはかられていくかもしれません。バイオテクノロジーの技術の組み合わせの話までいくとなにかSF物語のようですが。

●AIが人生の選択に関わると言うのは具体的にはどんな感じでしょうか
・たとえば「どの仕事に就くのがよいか」
AIが答える。 「Aという仕事の成功確率90% ,Bという仕事の成功確率30%」とか
・「この人と結婚してよいか」
AIが答える。「うまくいく確率80%とか、お勧めしないとか」
このように人生の選択の際にAIが助言を言うでしょう。
最初のうちは一部の人の利用なのでしょうが、AIの薦めに従っておくとうまくいくと口コミで広がっていくと、一気に利用する人が増えていきそうです。
株式の取引でも、コンピューターを利用した超高速取引が勝てるとわかったら急速に利用が広がったのといっしょです。
●AIの判断にまかせておけば悩みは無くなる?
ハラリ氏が言うように
人生の大きな選択の場面で、AIの判断に頼るようになると人生観に大きな変化が生じるのでしょう。
人間の悩みの多くは、「選択に迷う」ことが多いのですが、AIが判断してくれるようになれば、自分で判断することがなくなるので「選択に迷う」ことは無くなります。もしくは減ります。
そうすると人間の悩みの多くは解消されるかもしれません。
どのAIを選択するかという悩みは残るかもしれません。たとえば、生まれたときからいっしょに過ごしてきた「AI」から離れて別のAIを使うという選択をするとします。
それは、離婚、親との死別、22世紀からやってきたネコ型ロボットと別れると同じぐらいの痛みを伴うものになるかもしれません。でも、そういった選択をしなければ、AIは人生の選択の際にはいつもいっしょにいてくれる相棒のような存在になるのでしょう。
自分のことを誰よりも知っていてくれるAIが推薦したものだからたとえうまくいかなくても仕方がないと納得できるとすれば、近未来の人類は「選択に迷う」こともなくけっこうハッピーに暮らしているかもしれません。
●AIの判断に従っているばかりで本当によいのか?
人間として、AIの推薦に従っているばかりで本当によいのか?という疑問が浮かんできます。
自分の意思で決めること自由意志という概念は近代社会の成り立ちの前提条件となっている概念ではありますが、それ以前に一般的な概念だったわけでもありません。
誰もがAIの推薦に従うような社会になっているとすれば、自由意志の概念も今とは違ったものに変化しているかもしれません。ですから現時点でこれ以上予想したり、考えても意味がないと思います。
実際どうなるのか確実な事はわからないわけですから。
あまり考えてもSFの世界になってしまいます。
これを読んだ方が、そんなこともあるかなーとちょっと頭の隅にひっかけておけば十分な話に思えます。
最後に、「占いは生き残れるか?」ですが。
ほとんどの人がAIの判断を頼って暮らすようになるとすれば、「選択に迷ったり、悩んだり」することも減るでしょうから、ほとんどの占いは歴史上の遺物となるかもしれません。
少なくとも当たるも八卦当たらぬも八卦より、自分のことや世界の人のことを知り尽くしたAIが判断したほうが当たる確率は数段高いでしょうから。
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https://twitter.com/kubo8tooru

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「サピエンス全史」で有名なユヴァル・ノア・ハラリ氏の近著「21Lessons」人類が現在直面している21のテーマについて書かれています。
とても読み応えのある本です。ハラリ氏の視点は読む人に様々な思考を促します。
この本を読んで、近未来に「占いは近未来に存在しているか?」というテーマを思いつきました。
現在、星占い、手相、タロット、血液型とか、さまざまなものがあります。占いを使って自分の運勢とか未来の事を知りたいとか判断するための材料にしたいという気持ちから、占いを利用したり、信じたりするのでしょう。
よく当たる占い師だと口コミで広がることもあるのでしょうが、たいていは当たるも八卦当たらぬも八卦の世界なのでしょう。
とはいえ、それを利用する人も100発100中で当ててくれることを期待しているわけではなく、自分で判断や予想ができない事態についての判断の助けにしたいという思いで占いに頼ったり利用したりすることのでしょう。
もし、自分の判断や未来の選択に適切な助言をしてくれる存在が登場したらどうなるでしょうか。
その時、占いは生き残っているでしょうか。
占いがどうなるかを考える前に、どんな社会になっているか考えてみましょう
●人生の選択の判断にAIが深くかかわる社会
21Lessonsの「自由」の章ではビックデータの集積によるアルゴリズムの精度アップが人生の選択の概念に大きな変革をもたらすとしています。
人生やキャリアの選択について次のように述べられている
(引用開始)
たとえぱグーグルは、ロースクールやバレエスクールに行くのは時間の無駄だが、すばらしい心理学者あるいは配管工にはなれるかもしれない(そしてとても幸せになれるかもしれない)と、私に教えることができるだろう。
キャリアに関してや、ことによると人間関係に関してさえ、AIの方が私たちよりも優れた判断を下すようにようになった日には、人間性と人生の概念は変わらざるをえない。
(中略)
私たちが次第にAIに頼り、決定を下してもらうようになると、この人生観に何が起こるか?現時点では、私たちはネットフリックスを信頼して映画を推薦してもらい、グーグルマップを信頼して右に曲がるか、左に曲がるか選んでもらう。
だが、何を学ぶべきか、どこで働くべきかや、誰と結婚するべきかを、いったんAIに決めてもらい始めたら、人間の一生は意思決定のドラマではなくなる。民主的な選挙や自由市場は、ほとんど意味をなさなくなる。大方の宗教と芸術作品にしても同じだ。
(引用終了)
Amazonやユーチューブを利用している人はイメージしやすいと思います。現在でも、自分の閲覧履歴や購買履歴にそって、その人の嗜好に合った商品や情報の提案がされます。提案を元に本を買ったり動画を見たりすることはごく普通のことになっています。利用者すべてのデータを情報処理した結果、その人がより興味を示しそうなものを提案しているわけです。
ハラリ氏によれば、このビックデータとAIの判断の飛躍的なレベルアップが特定の商品購入だけでなく
人生やキャリアの決定の判断の分野にも及んでくるだろうと言うのだ。
現在ではまだ、そこまでの情報の集積やコンピューターの処理能力が無いのでしょうがこの本を読む限り、近い将来そうなっても不思議ではないと思えます。
子供が誕生した時から、その子が人生やキャリアの選択をするまでの間に様々なデータが膨大に蓄積されます。
ネットやSNSの閲覧や交信記録。家庭環境や交友関係。どんな選択を好むか等々また、世界中の人々のデータも同時に蓄積されていきます。その両方を利用することで、AIが最適な選択の提案をするというわけです。
さらには、遺伝子情報の解析データの利用そしてある種の生体チップのようなものを使用したコンピューターとの連結といったバイオテクノロジー技術の利用によりAIの提案精度の向上がはかられていくかもしれません。バイオテクノロジーの技術の組み合わせの話までいくとなにかSF物語のようですが。

●AIが人生の選択に関わると言うのは具体的にはどんな感じでしょうか
・たとえば「どの仕事に就くのがよいか」
AIが答える。 「Aという仕事の成功確率90% ,Bという仕事の成功確率30%」とか
・「この人と結婚してよいか」
AIが答える。「うまくいく確率80%とか、お勧めしないとか」
このように人生の選択の際にAIが助言を言うでしょう。
最初のうちは一部の人の利用なのでしょうが、AIの薦めに従っておくとうまくいくと口コミで広がっていくと、一気に利用する人が増えていきそうです。
株式の取引でも、コンピューターを利用した超高速取引が勝てるとわかったら急速に利用が広がったのといっしょです。
●AIの判断にまかせておけば悩みは無くなる?
ハラリ氏が言うように
人生の大きな選択の場面で、AIの判断に頼るようになると人生観に大きな変化が生じるのでしょう。
人間の悩みの多くは、「選択に迷う」ことが多いのですが、AIが判断してくれるようになれば、自分で判断することがなくなるので「選択に迷う」ことは無くなります。もしくは減ります。
そうすると人間の悩みの多くは解消されるかもしれません。
どのAIを選択するかという悩みは残るかもしれません。たとえば、生まれたときからいっしょに過ごしてきた「AI」から離れて別のAIを使うという選択をするとします。
それは、離婚、親との死別、22世紀からやってきたネコ型ロボットと別れると同じぐらいの痛みを伴うものになるかもしれません。でも、そういった選択をしなければ、AIは人生の選択の際にはいつもいっしょにいてくれる相棒のような存在になるのでしょう。
自分のことを誰よりも知っていてくれるAIが推薦したものだからたとえうまくいかなくても仕方がないと納得できるとすれば、近未来の人類は「選択に迷う」こともなくけっこうハッピーに暮らしているかもしれません。
●AIの判断に従っているばかりで本当によいのか?
人間として、AIの推薦に従っているばかりで本当によいのか?という疑問が浮かんできます。
自分の意思で決めること自由意志という概念は近代社会の成り立ちの前提条件となっている概念ではありますが、それ以前に一般的な概念だったわけでもありません。
誰もがAIの推薦に従うような社会になっているとすれば、自由意志の概念も今とは違ったものに変化しているかもしれません。ですから現時点でこれ以上予想したり、考えても意味がないと思います。
実際どうなるのか確実な事はわからないわけですから。
あまり考えてもSFの世界になってしまいます。
これを読んだ方が、そんなこともあるかなーとちょっと頭の隅にひっかけておけば十分な話に思えます。
最後に、「占いは生き残れるか?」ですが。
ほとんどの人がAIの判断を頼って暮らすようになるとすれば、「選択に迷ったり、悩んだり」することも減るでしょうから、ほとんどの占いは歴史上の遺物となるかもしれません。
少なくとも当たるも八卦当たらぬも八卦より、自分のことや世界の人のことを知り尽くしたAIが判断したほうが当たる確率は数段高いでしょうから。
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